さて、俺−勿論今の−は今パソコンに向かっている。 何故かというと……
「進藤麻紀、女性、15歳か……」 このセリフだけだとただの変態にも聞こえるかも知れない。 セリフの抜粋箇所を間違えたな。
「手持ちはサーナイト、トゲキッス、マリルリ、エルレイド……」 これなら分かると思う。 俺が今しているのはトレーナー、しかもポケモンリーグ(16歳未満の部)決勝の対戦相手である(ちなみに俺は14歳)。
あ、自己紹介がまだだったな。 俺は屋島拓弥。性別男。年齢はさっき言った。以上。
「取りあえずトゲキッスはマニューラでエルレイドは……」 俺はパソコンの画面に移された十個程のモンスターボールから連れていく六体を選び、大会本部に登録するという作業をしている。
「よっし、これで……YES、ENTERっと」 俺は自前のノートパソコンの右端あたりにある歪な形のキーに軽く触れ、数秒も経たずに現れた「登録しました」と記された小さな画面を確認してから、パソコンをシャットダウンして、登録したメンバー達の入っているボールを6つ、そばにおいてあったバック(とは言っても腰につけるような物で、中はモンスターボールのような空間になっていて、自分が取ろうとした物がでてくるというかなりハイテクなものである。)から取り出す。 バッグの中にいるポケモン達にとって、この作業はかなりの緊張感をもたらすらしい。
今回のメンバー達は……
「やっぱりお前達だったか」 俺の手の上にある6つのボールの中にいるのは、旅で1〜6番目に出会った奴らだった。 八つ目ジム戦の時もこいつらだったな……。
さて、もうそろそろ時間っぽいな。 そう思い俺は机から立ち上がり、ノートパソコンをバッグに仕まい、部屋のドアを開けた。