どうせ無理だ。
受け入れられるわけがない。
それでも……やらなければならない。
ポケモン協会へ行く足取りは重かった。
真実を知ってしまい、それを止めたいのに、理解がないことが明白だからだ。
「ですから、このグラフから分かる様に近年ではカビゴンが減る一方、ゴンベの数が急上昇しています。ハクタイの森周辺では特にそうです。」
これは今までの調査で分かってきたこと。
ポケモン学者ならほとんどの人が知っている。
「それがどうかしたのか?対処法が見つかったのかね?」
「はい。」
俺の決然とした態度に、ほとんどの学者が驚く。
「理由は…人間の所為です。」
年老いた学者たちにさえぎられないよう、俺はいっきに言葉を言った。
「人間の環境破壊!まとめればそれだけです。しかし色々な形でです。森にある木の実をすべて取ってしまい何も植えない。ハクタイの近代化にクロガネ炭鉱への機械投入!ハクタイの森付近のタタラ製鉄所もそうです!さらに、我が町、ナギサシティのソーラーパネル設置時の排水を海に流した事により海と森の関係が崩れてしまったこと!ですから…」
それ以上は言えなかった…いや言わせてもらえなかった。
老人学者たちがいきなり反論をはじめ、口を挟もうにも挟めなくなったのだ。最後には
「若造!お前の話に付き合ってる暇はない!」
とまで言われ…強制終了させられた。
「残念じゃったのう。」
報告が終わり解散となると、声をかけられた。
後ろを向くと、60ぐらいの老人学者が。
唯一、俺の話に反論しなかった人だ。
「わしも、あんたと同じような研究をしててのう…」
「何を…?」
「ホエルコ・ホエルオーについて、じゃよ。結果は…君と一緒だったのう。やはり、森と海は…」
「つながっているんですね…」
その後、二人で色々話した…。
「そうそう、君、わしと一緒に研究をしないかい?」
「光栄ですが…遠慮します。」
「なぜかね??」
「学者の大多数があれでは…」
次の言葉は聞こえないように。
(この世界をかえでもしないと…)
「では失礼します。」
「おお、わしもナギサに住んでいてのう、名前だけでも教えてくれんか?」
「名前ですか?私は…」
「アカギと言います。」
彼が銀河団のボスとなるのは、もう少し後の話。